<トップ画像引用元:Sputniko! facebook>
遡って2018年のことですが、現代アーティスト スプツニ子!のSpeculative Design =議論するデザインの講演を聞いた時の話です。
当時はパラレルワーク中で、働いていた会社がIT関連だったので、ITビジネスのイベントでスプツニ子!がゲストとして登壇していました。(デザイン・シンキングが流行りだした頃だから、アーティストを呼んだのだと思う。)
不妊治療が一部保険適用になった2022年の今、同性カップルの人口受精をテーマにした作品を思い出さずにはいられない。
自分の中にずっと残る “問い” を与えられた作品、”(im) possible baby” です。https://aihasegawa.info/impossible-baby-case-01-asako-moriga
あなたは答えられますか?
「命に手を加えること、人間にはどこまで許されると思いますか?」
今回の記事は、そんな神の領域に踏み込むモラルを問いかける、スプツニ子!の講演で紹介されていたMITメディアラボの作品についてです。
ちなみにITイベントでの講演のメイントピックは、進化するAIテクノロジーとモラルについて。
これもおもしろくて別記事にぎゅっと書いているので、特に20〜30代にはぜひ知ってほしいです!
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人が人をつくることは、どこまで許されるのか?
画像引用元:<Ai Hasegawa ポートフォリオ>
同性カップルの遺伝子データからつくった子ども
画像はAi Hasegawaさんの作品で、同性カップルでの遺伝子データからつくられた子どもの画像です。
外見だけでなく、性格や病気のなりやすさ、「パクチーを石鹸の味に感じるDNAを持っている」などのおもしろい特長まで多様な情報をはじき出せるらしい。
そう、この子どもさんは実在はしない、データ上で作られた存在なのです。
家族団らんの仮想家族アルバムなど、他にも詳しい情報が載っているAi HasegawaさんのWebサイトをぜひのぞいてみてください。
ここまでは、最新の技術にアイデアが組み合わさるとすごいな〜!おもしろいな〜!とか、
同性カップルの子ども、その家族団らんの仮想家族アルバムまで作れるなんて、夢があるな〜、とその目新しさにワクワクしていました。
実際に、2004年の時点で二母性のマウス、つまり卵子だけで哺乳類が発生できたらしいです。(「二母性マウス」「かぐや」と検索すると日本語の記事がいくつか出てきました!)
ips細胞などの技術発達も凄まじく、技術的に可能な段階というのは、すぐそこに来ているのではないだろうか…と。
が、
いざ実現可能な段階まで来たら、それは許されるのだろうか?
自然の摂理では生まれることのない命を、人口的に、科学的に細胞を加工して、命をつくり上げることは、人の領域を超えているのではないだろうか?
という問いが生まれるのです。
倫理的に超えることができるハードルなのか?
生物学的な意味での男性の精子と女性の卵子が合わさって誕生するのが、わたしたち人間の生命。それが自然の摂理なのは一応義務教育で教わったことですよね。
卵子だけで生まれた生命は、人の手でつくり出すことって、いわゆる神の領域なのだろうか。
倫理的にこれはアウト?それともセーフ?そもそも倫理的にOKって誰が決めるの?
ここでスプツニ子!が講演で問いかけてきて、胸にズドンときたことが… 。
わたしたちはすでに科学の力で生命をつくっている、ということ。
体外受精、人口受精、代理出産、、、
そうだ、「自然に」の壁はもう超えてしまっていたんだった。
体外受精などに対してすっかり違和感がなくなっている自分にも、ここで気付きました。
子どもを望む愛情深い人たちにとっては救いの道だと、むしろポジティブに捉えてもいる。
わたしは、慣れてしまったことはOKにして、未知の領域に対して懐疑的になっているだけ?
と頭の中で問いかける自分も居て、今でも答えは出ません。
日本では20人に1人が体外受精の子ども
スプツニ子!は、さらにびっくりな事実を教えてくれました。
講演のあった2018年の時点で、すでに日本では20人に1人は体外受精によって生まれた子どもだそうです。
つまりクラスに1人は必ずいる。多かったら2人かもしれない。実際に体外受精がここまで普及していたとは思っていなかったので、かなりびっくりしました。
不妊治療は珍しいことではなくなった。
2022年の今では一部が保険適用になるくらい、世間でも違和感のないことになっている。
きっと体外受精の技術が出たばかりの頃はもっと風当たりは強かったんだろうな。。。
同性カップルだって、以前よりは心苦しい想いをする人は減っているはずだし、同性婚も認められていけばいいと思う。
では、同性カップルの子どもは?
人によって立場や状況が相まって答えは変わると思います。
わたしも正解は分からないけれど、体外受精が一般的になっていったように、いずれは “社会的に” OKに感じるような、答えっぽいものが出ていくのでしょうね。
心に残りつづける問い
<画像引用元:Sputniko! facebook>
この講演でスプツニ子!はSpecurative Designと称して、問いかけるアートを教えてくれました。
こういう答えのないテーマ、モヤモヤはするけれどおもしろい。おもしろいと感じるからわたしは好きです。
他にも、似ている話題をスプツニ子!は話してくれたので別記事にしています。
命の選択とAI技術について。興味のある人はぜひ読んでみてください。