空が青いって本当に思う?色を覚えることばの不思議

言語学で思い込みがひっくり返る

青い空、青い海

白い雲、オレンジの太陽

 

目の前にクレヨンがあって、空と太陽を描いてください。って言われたら、

ほとんどの人は、空は青く、太陽は赤やオレンジで描くのでは?

 

でも本当にそう思ってる?

 

そもそも色名の付け方って曖昧ですごく不思議。

色という形容詞の使い方で印象操作された言葉ってたくさんあるのよ。

だって白ワインって実は黄色がかったグリーンだし、信号は青じゃなくて緑だし。

 

「黒人」と「白人」と言わずに、「焦げ茶色」対「ピンクがかった茶色」だったら

人種同士の関係は、ここまでこじれていたかな・・・?

 

言語学を知ると、実は知らず知らずのうちに教え込まれた思い込みが、大きく覆えるのさ。

 

子どもにとって色を覚えることって、実は難しい

 

子どもが生まれてから主要な色の名前を覚えるのは、生後3といわれている。

この中から丸を選んでごらん。四角を選んでごらん。

と言われてすぐ指差すことが出来る子どもが
黄色を選んでごらん。と言われて迷ってしまうケースが多いというから驚き。

 

なぜかというと、色で選ばせるということは

特定のモノから “色” という性質が独立した性質であると理解させなければいけないから。

 

それが子どもにはむずかしい!

 

あれは犬だよ。と教えるのは簡単だけど、犬を指差して あの色は茶色だよ。って教えられても、子どもにとっての難しさは全然違うということよね。

 

色を色として切り離して認識するには、それなりの訓練が必要になる。

 

 

そして空を「青い」と表現することも、実は人から教え込まれた感覚なんだよね。

もはや当たり前の感覚になっている大人にとってはピンと来ないかもしれないね。

 

だって晴れたときの澄み切った青い空!

沖縄の空なんてすっごく綺麗。

あれを青と呼ばずに何と呼ぶー!?

 

この色はなぁに?

 

ある言語学者が自分の娘にある実験をしました。

娘には色についての訓練を積極的にさせました。

この色はなあに?と指差して、色名を当てる遊びをよくやっていました。

でも彼の中でつだけルールがありました。

あらゆるものについての色を教えても、空の色を絶対に言わない、ということです。

 

 

生後18ヶ月のアルマちゃん、青い対象物も含めて十分に正しく色を認識できていました。

あえて彼は、晴れた青い空の日を選んで、上を指差しながらアルマちゃんに

空の色は? と、ときどき聞くのでした。

しかしアルマちゃんは「何のこと言っているの?」と言わんばかりの不思議な表情をするだけでした。

他の青い対象物に対しては青と答えていたから、「青」を知らないわけではありません。

 

 

生後23ヶ月、初めて答えた空の色は「白」でした。たしかにその日は眩しいほどよく晴れた日でしたが・・・

その1ヶ月後、ようやく「青」という答えがアルマちゃんの口から出てきました。

それでも月日がたって、4歳になっても白と言う日もあれば青という日もある。

定まらない様子でした。

 

 

この世界の対象物には「色」という性質があることを、意識的に教えこまれていたケースにも関わらず、なぜこんなに時間がかかったのだろう?

 

推測されるにそれは・・・

手で触れることのできない広い空っぽの空間に、「色」がある!

そもそもこの概念が出来上がるのに苦労したのではないかしら。

 

 

虚無な巨大空間に「色」がある。

それは空気に色を与えるようなもの。

 

なんとも印象派画家さながらの感覚を求めるには早過ぎますな。

 

「色」がほとんど無い島も存在する?!

 

これはポリネシアのある島で、人類学者が暮らしてわかったことですよ。

その島の人たちはモノクロしか見えない視力? 違います。

白黒の木しか生えてない? 違います。

同じように海もあるし森もある。

 

彼らの文化では、そもそも「色」という概念を重要視していない

なので会話の中に色名が出てくることがほとんどない。そういう世界も存在するのさ。

 

その自由さって、アートじゃない?

目の前の「青い色」という概念をどこで区切って、

どういう「言葉」として形にするかが文化。

与えられた固定観念でモノの色は決まらないし、世界の色も決まらない。

この世界から何を切り取るかは自分次第。何をどう呼ぶかも自由。

 

そういう、固定観念を超えるのが芸術のおもしろさで、美しさなのだと思う。

 

 

晴れた日、

光がキラキラして、ピンクだったりむらさきだったり、暖かいオレンジの空気が宙を舞ってる・・・

風に色を付けるような。

 

そういう絵をわたしは描きたい。

 

 

・・・なんか宮沢賢治風の1行で終わってしまった。

*この話の内容は、わたしのお気に入り1冊の本から学んだ一部に、 自分の考えも交えての紹介でした。アルマちゃんの実験の話はこちらの著者のお話です。

言語が違えば世界も違って見えるわけ Guy Deutscher著・田直子

(原題 “Through the Language Glass: Why he World Looks Different in Other Languages“)


色の不思議な話をまとめた記事:

これ見えてます?不揃いの色たち、不完全な言葉たち。その謎が解けた