エシカルに創作活動をしていきたい、と考えるようになってから、絵の具と環境問題への影響についてコツコツと調べています。
これまで透明水彩絵の具、アクリル絵の具、油絵の具の環境への影響について調べるために、絵の具とはそもそも何でできているんだろう?というところからはじめました。
せっかくなので、自分なりに調べたことを記録してシェアしたいと思います!
\\ noteでも更新してます //
#エシカルにクリエイティブ というテーマで自由研究をしています。自分で調べたこと、考えたこと、自分になりに出した選択についてnoteのマガジンにも投稿しています。
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絵の具って、そもそも何でできてる?
絵の具の基本構成
簡単に言ってしまえば、絵の具の基本は 【色の成分(顔料)+ 糊になる成分】です。
市販の絵の具はプラスアルファで助剤と呼ばれるもの、防腐剤とか調整剤、成分安定剤みたいなものが入っています。
「顔料」は色の素。色素になる成分なので、どんな絵の具にも必要な成分。
色素の次に大事なのが糊になる成分、つまり「つなぎ」ですね。
難しい言葉だと「バインダー」「展色剤」で、絵の具の中身でこの分量はかなり大きいです。この糊になる部分が変わると、絵の具の種類が変わります!
プラス、助剤は市場に並べる製品にするための添加物です。加工食品でも保存料とかph安定剤が入っていますね。
絵の具の種類のちがい
透明水彩絵の具、アクリル絵の具、油絵の具など、絵の具の種類を決めるものは糊の成分です。
よく使われる絵の具をみていくと、
- 水彩絵の具=顔料+アラビアゴム(アカシアの木から採れる天然樹脂)
- アクリル絵の具=顔料+アクリル樹脂(プラスチックの一種で合成樹脂)
- 油絵の具=顔料+リンシードオイル(食用にもされている亜麻仁油)
- 日本絵の具*=顔料+膠(動物のゼラチン質)
*日本絵の具は岩絵具、水干絵具など顔料の種類によっても細かく分けられるけど膠を使うのは同じ
アクリル絵の具以外は、原材料は動植物ですね。
他にも、色んな技術開発でそれぞれの特徴をミックスしたハイブリッド型もあったりします。
たとえばホルベインの油絵の具なのに水で溶けるシリーズ、duoなど。
特殊なのは必要になったときに調べることにして、まずは一般的な絵の具について調べることにしました。
透明水彩絵の具:アラビアゴムの環境負荷
透明水彩絵の具に使われているアラビアゴムとは、アカシアの木から採取される天然の樹脂成分。樹木は主に北アフリカに生息しているようです。
水性樹脂なので水によく溶ける。紙への定着が良い。ツヤが与えられる。というのが特徴。
甘みがあるので、アラビアゴムは食品にも使われていて、キャンディーや薬(錠剤)のコーティング剤として役立っている。
植物からの天然素材なうえ、食品や薬にも使われている◎ということで、原料としても環境露出にしても、アラビアゴムは環境への負荷は低いと考えられます。
アクリル絵の具:アクリル樹脂の環境負荷
アクリル絵の具に使われているアクリル樹脂とは、簡単にいうとプラスチックの一部。石油から化学合成でできたものです。
だけどそれだけだとモヤっとしているので、アクリル樹脂とは?を調べていくと…. 化学用語が非常にむずかしかったです。
アクリル絵の具に多用されているであろう成分はアクリルエマルジョン→アクリル酸エステル→アクリル酸エチル、と徐々に推測して絞っていきました。
アクリル酸エチルを含んだ排水が環境に与える影響は?と調べていって分かったのは、
- 有毒性が一部の認められるものの、生物への影響度の指標となる生物濃縮性は低い
- そのまま環境水中にさらされた場合、水生生物への有毒性で悪影響を及ぼす可能性がある
- 生分解されるという記述もあり、下水道処理施設で除去できていると推測される
即アウト!というほど決定的でもなく、安全◎とも言い切れず、という結果でした。
noteの記事「アクリル絵の具で汚れた水をどうしよう?」では、じっくり調べて考えたプロセスと、参考文献のリンクをのせているので、気になる人はぜひぜひ確認してみてほしいです。
現時点では、わたしはアクリル絵の具を使うことはほとんどないです。
- 汚れた水は一晩寝かせ
- 透明になった上澄みの水は流し
- 沈殿物はボロ布で拭き取って処分
油絵の具:リンシードオイルの環境負荷
油絵の具に使われているのはリンシードオイル、つまり亜麻仁油です。
亜麻仁油は聞いたことがある人が多いかと思うのですが、食用油の、あのオメガ3脂肪酸が入っていて健康にいいとされている食用油です。
原料としてはよいのですが、廃棄する時の環境露出はもちろん注意が必要!
キッチンで食用油を捨てるときも下水道には流さず固めて捨てるというのは、今は当たり前かなと。
ただ、油絵の具そのものよりも併用して使うアイテム、揮発性油は特に有害性が強いものなので、揮発性油は別の選択肢を考えるべく、いろいろ調べていきたいと思っています。
油絵の具についても、細かい参考文献のリンクやプロセスはnoteにもアップしています。
エシカルとは?
「エシカル」というのは、広くいうと行動の先にあるもの、人、自然環境、動物を想い、配慮することだと思っています。
今の社会構造はとっても複雑なので、100点の行動、正解を出すのはとてもむずかしい。
考えるその時々で目を向ける問題は環境破壊だったり、人の労働環境の問題だったり、視点を変える柔軟さも必要で。
それに加えて、人それぞれに知るために調べたりする労力的なキャパ、経済的なキャパなど、立場も違うとできることも違う。自分の中でも、考えるタイミングが違えば答えは違ったりします。
だからこそ、それぞれに考え、選択を押し付けるでもなく、シェアすることでいい連鎖が生まれれれいいなあと。
わたしは、白か黒かの極論ではなく、グレーな領域の中にひとそれぞれにいくつもの答えが存在しているのだろうと思います。
エシカルとは英語で、直訳すると「倫理的」という意味です。一般的には、「法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」であると言えます。私たちが普及活動を行なう際の「エシカル」とは、根底には一般的な定義が流れているものの、特に「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のことを指します。